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 2~3年前までは口腔内撮影といえばカラースライドの独壇場でした。しかしこれから始めようという場合フィルムのカメラを選ぶ人は少ないでしょう。口腔内撮影の主目的が症例の記録から患者説明用に大きくシフトしつつあるなかでは、撮った画をその場で見られるデジタルカメラの優位 は絶対的ですから当然のことかもしれません。一方で、これまでスライドで口腔内撮影をしてきた人達は、簡単にデジタルカメラに切り替えようとはしていません。リアルタイムの魅力は感じつつも、これまでに積み上げてきたシステムを捨ててまで簡単には飛びつけないのです。
 コンパクトで全自動化されたデジタルカメラで口腔内撮影を!と思われている方には、その前にこれまでの口腔内撮影の辿った経緯を知ってほしいと思います。きっとデジタルカメラを選択する時に役に立つはずです。
口腔内撮影と35ミリ一眼レフ

 

 

 

 フィルムで口腔内撮影をするとき使われてきたのは例外なしに一眼レフでした。カメラの自動化など細部の変化はありましたが、100mm前後のマクロレンズとリングストロボとの組み合わせは、40年近くまったく変わっていません。学会、講演、原稿、すべての口腔内写真は、35fujiスライドフィルムと一眼レフで撮影されてきたのです。口腔内という特異条件の接写にはこれ以外に方法がなかったからで、日本だけでなくアメリカでもヨーロッパでもまったく同じでした。10年~20年のあいだにフィルムの種類が変更になることでも大問題になるくらい平和な時代が続いてきたのです。超ロングセラーを続け昨年生産が中止されたメディカルニッコールはその代表格でしたし、もっとも簡単な口腔内撮影用カメラとして広く使われている京セラDental-Eyeにしても、同じシステムを始めから一体化したものです。
 即時性からごく一部の人がポラロイドカメラを使うことはあっても、ポケットカメラで撮影してみようというという人は絶対にありませんでした。このことが後で問題になります。

 

なぜ35ミリ一眼レフ.マクロレンズ.リングストロボなのか



図1 口腔内撮影用3点セット
   1. 35mm一眼レフ
   2. 100mmマクロレンズ
   3. リングストロボ

  1. 35ミリ一眼レフはさまざまな種類のカメラの中でもっとも各種システムが充実し応用の巾が広い。
  2. どんなレンズをつけて接写をしても、ファインダーの視野と実際に写る画面にずれがでない。
  3. 100ミリ前後のマクロレンズは単体で実物大までの接写ができ、さらに拡大することも難しくない。
  4. 口腔内では咬合面、頬舌側などミラーを使うことが多い。100ミリ・マクロレンズではあらゆる条件で撮影しやすい距離が保てるが、50ミリ・マクロでは撮影距離(ワーキング・ディスタンス)が短すぎミラーに当たって撮影できないことが多い。
  5. 口腔内撮影でリングストロボ以外の照明方法では影が出て見苦しい。
  6. 35ミリスライドは保管、管理がしやすく、プロジェクターも広く普及している。

 

即時性の大先輩はビデオカメラ

 

 

 

 

 動画のほうが8mmや16mmフィルムから磁気テープに変わり即時性をもつようになっても、静止画の方はフィルム全盛が続いてきました。1980年代には初期の静止画デジタルカメラ、ソニー・マビカ、キャノンなどが登場しましたが、大きく高価でとても使う気になれませんでした。ようやく1990年代に入ってカシオから使えそうなデジタルカメラが市販され話題になりましたが、フロッピー・カメラという呼び名の通り、画質は使い捨てカメラにも遠く及びませんでした。

 

混乱の始まり

 


図2 小型ビデオカメラで静止画を作るにはこれだけの道具が必要

 

 

 

 同じ1990年頃から親指カメラなどと呼ばれる小型CCDカメラを口腔内に入れて動画撮影をし、これを静止させてテレビで見せるという製品がアメリカで大流行し、その幾つかは日本にも輸入されました。静止画で見せるためにデッキが必要でどのメーカーの装置もカート一台分になりました。一眼レフで撮影した画像とは月とスッポンでしたが、「リアルタイムで患者さんの説得に」という殺し文句が有効だったようです。使ってみるとカメラにファインダーがないので、別置きのモニターを見ながらの撮影しなければならず「目のないカメラは使えない」と悪口をいってきました。
 ただこの頃から口腔内撮影は、従来から続いてきた症例記録以外に、患者説明用という用途を持つようになりました。それぞれが必要とする画質にはかなり大きな開きがあります。患者説明用の場合は保存の必要もなくおおよその様子が分かれば良いので、正確な色調再現までを必要とする症例記録とは完全に分けて考えるべきです。どのカメラが良いか、安いか高いかなどを話すときには、どちらの用途かをはっきりして話さないとわけが分からなくなります。

 

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