< D1日記-7
[蔵   トップページへ]
{ 1 ]    [ 2 ]    [ 3 ]    
一挙に無法地帯

本体だけでほぼ2キロ


マニュアルもどき
 

  ライカとコンタックスによって開かれた35ミリカメラのシステムは、戦後、一眼レフに引き継がれてユーザー層を広げ、カメラや写真のスタンダードになりました。画面の大きさ、縦横比、拡大率、プリント、印刷行程などほとんどあらゆることが24×36ミリの35ミリフィルムを中心に考えられてきました。後に新しいフィルムサイズが生まれてもそのほとんどが消えて35ミリが生き残ってきました。レンズの焦点距離やフィルムサイズを語るとき、35ミリ換算という表現がよく使われるのはこうした事情を良く物語っています。もう一つのロングセラーは35ミリより大きい中型カメラに使われるブローニーフィルム(120フィルム、220フィルム)で、プロやマニアの人には好まれますが一般的とはいえません。 
一方デジタルカメラにはこうしたスタンダードはありません。フィルムに相当する撮像素子CCDの大きさもさまざまなら、密度を示す画素数も1画素の大きさもばらばらです。記録媒体に読み込まれる画質モードやサイズも、似かよってはいてもカメラによってまちまちです。何枚撮り?なんていうことはここではまったく通用しません。 
色のばらつきもフィルムの比ではありません。詳しいことは分かりませんが、デジタル画像の正体はフィルムのように画ではなく数値のオンパレードのはずです。それぞれの数値をカメラのCPUが色に置き換えていくわけですが、その色づけはメーカーにより機種によってさまざまです。旧型が赤すぎると批判されれば次のタイプでは青やイエローを強くしてくるはずです。試行錯誤でブレは次第に少なくなるでしょうが熟成には時間がかかりそうです。フィルムの色にも偏りやくせはありますが、もし気に入らなければフィルムを変えたり現像所を変えたりすればすみます。ところがデジタルカメラの色合いはそのカメラに固有のもので変えることはできません。あれだけ評価の高かったD1でも、いまD1XやD1Hと較べればその違いは歴然としていますし、D1をバージョンアップすることはできないのです。デジタルカメラが完成の域に入るまで旧型が捨てられる宿命はついて歩きます。もちろんD1が使えなくなるわけではありませんが、種々改良された新型が出てからも頑張るのは辛いことです。F4、F5が出てからもやっぱりF3が一番だというのとは根本的に違うのです。
後から参入される方ほどこうした悲哀は小さくなるでしょう。それでもフィルムを変えられないデジカメにはライカのような生涯は過ごせません。働き者で現役時代には引っ張りだこでも、役割を終えたときサブカメラやコレクションとして残れるデジタルカメラは例外といってもよいでしょう。「だから安い小型デジカメで!」実はこれが一番高くつくのです。自慢にはなりませんが筆者自身も何とか使えるのではないかと何台かは使ってみました。アクセサリーを特注したり、メーカーの人たちと話し合いもしましたがすべては水の泡でした。返品できた物もありますが、姿も見たくなくなったデジカメは使って頂けそうな方に進呈しました。

    デジタル一眼レフの問題点


CCD、フィルム 画素の比較

 

 現在のデジタル一眼レフでは、フィルムの代わりをする撮像素子(CCD,CMOS)の大きさに制約があり、 35ミリより狭い範囲しか写りません。35ミリフィルムより画角*が狭いため、撮影範囲という意味では約1.5倍長焦点(望遠)のレンズと同じになります。フィルムのカメラで使っていた100ミリのマクロレンズは150ミリ相当の範囲しか写せませんから、その分だけ離れて撮影しなければならなくなります。当然マクロレンズに表記されている撮影倍率も変わってしまいます。これだけでも少々厄介なのですがもう一つ面倒なことが起こります。
デジタル一眼レフに120ミリのメディカルニッコールをつけると、180ミリ相当の画角になってしまうわけですから決して使いよいとはいえません。そんなことなら60ミリのマクロレンズを使えば丁度90ミリになって使いよいだろうと考える方は少なくないでしょう。私もその一人でした。
しかし画角が狭くなるということは、フィルムでは写るはずの周辺部が切り取られるというだけのことでレンズ自体の性格はそのままです。60ミリのマクロレンズを使うと画角は90ミリ相当になって具合が良いのですが、倍率を上げるには被写体との距離が近づきすぎて撮影不能になってしまうのです。接写に必要なワーキングディスタンスが確保できないのです。これまでスライド撮影に100ミリ前後のマクロレンズを使ってきたのは、撮影倍率とワーキングディスタンスという点で丁度良い焦点距離だったのですが、現在のデジタル一眼レフはフィルムのサイズを勝手に小さくしてしまったのです。
次の問題は選択できる機種がニコン、キャノン、フジの3種に限られることです。キャッシュバックを計算に入れても20~35万とフィルムの2~3倍の初期投資になります。長期的に見ればフィルム代、現像代などで回収でき差は小さくなりますが簡単に手を出せる金額ではありません。近々発売が予定されている機種はいずれも高級機で、フィルムカメラのような入門機はまだ先になりそうです。さらにリングストロボの自働調光なども使いやすい環境が整っているとはいえません。
いま口腔内写真をリアルタイムで患者さんに見せたい方、ケースプレなど発表の機会の多い方にはお勧めですが、あまりカメラに強くない方はもう暫くスライドで頑張って頂いたほうが良さそうです。

* 画角 ・・・ 画面に映る範囲を角度で表現したもの。(広角、標準、望遠)ワーキングディスタンス・撮影時、被写体とレンズの前端までの距離。短すぎるとカメラを自由に操作できない

[ 1 ]     [ 2 ]    [ 3 ]     
[蔵   トップページへ]